ホテル ドゥ ラルパージュの館内には、至るところに絵画が飾られています。フランスのご家庭に行くと、どの家の壁にも絵がかかっています。それらは昔からそこに掛けられたままになっているかのように馴染んでいます。
このホテルで皆さまのご覧になられている絵は、いずれもそういう雰囲気をお楽しみいただくべく、当ホテルのオーナーが一枚一枚選んだものです。
そこに一枚の絵があるだけでその場の雰囲気や空間が変わる、そのような「絵のある空間」を感じていただければ、と思います。
今回は、レセプションルームに飾られた絵画をご紹介します。
フランスブルゴーニュ産の石灰石「コンブランシアン」の柔らかな白を基調としたエントランスホールから、ホテルにご到着されたお客様が次に足を踏み入れるのがこのレセプションルームです。床は石張りからフレンチヘリンボーン張りのフローリングに、壁の色も石灰石に合わせたオフホワイトから「ボールルーム」をイメージした華やかなブルーに切り替わります。
18世紀のルイ15世様式スタイルのアンティークシャンデリアが大きな存在感を放つこの空間のムードとテーマは、そのころにヨーロッパで大流行した「シノワズリー」であり、絵画だけでなくオブジェ、椅子、ラグなども同じテーマに統一されています。
レセプションルームに入って一番目を引くのは、大理石の暖炉の上に飾られた絵画でしょう。シノワズリーに優れた画家ジャン・ピルマンJean Pillement (1728 Lyon – 1808 Lyon)のスタイルにて描かれた、無名画家の作品です。極彩色のオウムや花の中国趣味的な色彩に加え、個性的なフレームの形が特徴的な一枚です。
レセプションルームの一番奥にも、中華風のパゴダを描いたフランス18世紀の絵画が飾られています。こちらも、ジャン・ピルマンJean Pillement (1728 Lyon – 1808 Lyon)のスタイルで描かれた、無名画家の作品です。
この他、レセプションには20世紀ヨーロッパのインテリアで重要な要素となっているチャイナラグ、名作椅子の一つであるチャイナチェアもあります。
18世紀のフランスではイギリス式庭園(庭を巡ると世界一周というアイデアの庭)が大流行しました。そこで自然の風景の再現、シノワズリーやエジプト趣味(ピラミッド)と並んで、モチーフとなったのが古代ローマの遺跡です。
レセプションルームに入ってすぐ左に飾られているこの水彩画は、古代ローマの遺跡を幻想的に描いています。作者は無名の画家ですが、19世紀に活躍したJean-Henry-Alexandre PERNET(ジャン・アンリ・アレクサンドル・ペルネー)のスタイルで描かれています。
尚、ホテル3階の回廊にはイギリス式庭園をテーマとした版画も飾られています。
チェックインを行うデスクの背後の壁には、18世紀フランスの6枚セットの絵画が飾られています。これらは当時の有名な海景をテーマにした作品で、大半は原画が判明している絵画です。例えば、火事の絵はVernetの描いたスミルナの大火をモチーフにしています。
このスペースに飾られている絵画は非常に表現力豊かで、旅や遠方の土地への憧れを醸し出しています。18世紀から19世紀ごろの世界では、海での旅が唯一の移動手段であったため、海を描いた絵画は旅と深く結びついています。
海を越えた船旅とイギリス式庭園の中での世界一周、大小二つの旅がレセプションルームのテーマとなっています。
レセプションルームをはじめ、ホテルの螺旋階段やウィンターガーデンのセンターテーブルにもシノワズリーの壺やオブジェが飾られており、館内に華やかな色彩を添えています。
ホテルのウィンターガーデンに飾られている絵画に関してはこちら。